※この記事は2026年8月時点の情報をもとにしています。制度は変わることがあるため、最新の内容や個別の判断は、国税庁・税務署・税理士などの専門家にご確認ください。

「開業届は、開業から1ヶ月以内に出さないといけない」——そう思って準備していませんか。

実は、2026年(令和8年)から、このルールが変わりました。この記事では、新しい提出期限と、あわせて気をつけたいポイントを、できるだけやさしく整理します。

結論:2026年開業からは「その年の確定申告期限まで」

まず結論からお伝えします。

2026年(令和8年)1月1日以後に開業した方は、開業届(正式名称「個人事業の開業・廃業等届出書」)の提出期限が、その年の所得税の確定申告期限まで(原則として翌年3月15日ごろ)に変わりました。所得税法第229条の条文も、この内容に改められています。[1][3]

一方、2025年(令和7年)12月31日までに開業した方は、これまでどおり「開業から1ヶ月以内」が期限です。[1]

具体例で見てみます。

・2026年6月に開業した場合 → 2027年3月15日ごろまでに提出すればよい ・2025年12月に開業した場合 → 開業から1ヶ月以内(従来どおり)

つまり、今年これから開業する方にとっては、「1ヶ月以内」という従来の感覚よりも、ずいぶん余裕のあるスケジュールになった、ということです。

なぜ「1ヶ月以内」から変わったのか

そもそも開業届は、「事業を始めました」ということを税務署に知らせるための届出です。

「開業から1ヶ月以内」というルールを厳密に運用しようとすると、「そもそも開業日はいつなのか」「期限に間に合っているのか」といった疑問が生まれやすく、手続きが複雑になりがちでした。

そこで、開業日を1日単位で厳密に問うよりも、「その年の確定申告のタイミングで、事業を始めたことが把握できれば十分」という考え方に整理されたものといえます。実際の開業のかたちに合わせた、現実的な見直しです。

注意:「青色申告」をしたいなら、期限は別です

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいポイントです。

開業届の期限はゆるやかになりましたが、青色申告を希望する場合の手続きは、期限が変わっていません。

青色申告とは、正しく帳簿をつけることを条件に、税金の計算で有利になる場合がある申告方法です。これを利用するには、「所得税の青色申告承認申請書」という別の書類を提出する必要があります。

この申請書の期限は、原則としてその年の3月15日まで。ただし、1月16日以後に開業した場合は、開業から2ヶ月以内が期限です。[1]

つまり、こういうことになります。

・開業届だけなら → あわてなくてよい(その年の確定申告まで) ・青色申告もしたいなら → 開業から2ヶ月以内に申請書を出す必要がある

「開業届はゆっくりでいい」と油断していると、青色申告の2ヶ月という期限を見落としてしまう可能性があります。青色申告を考えている方は、開業届と青色申告承認申請書を一緒に出してしまうのが、いちばん安心で手間も少ない方法です。

開業のときに、あわせて確認したいこと

開業届のほかにも、最初のうちに知っておくと安心なことがいくつかあります。

ひとつは、提出した書類の控えです。2025年(令和7年)1月から、税務署で控えに収受日付印を押す対応が廃止されました。そのため、提出した書類と同じ内容の控えは、自分で作成・保管しておくのが安心です。[2]

もうひとつは、業種ごとの許可です。飲食店や美容業など、業種によっては税務署への届出とは別に、許可や登録が必要な場合があります。自分の仕事に何が必要かは、迷ったら管轄の役所に確認してみてください。

まとめ

最後に、要点を整理します。

・2026年開業からは、開業届の提出期限は「その年の確定申告期限まで」に緩和された ・ただし、青色申告をしたいなら、申請書は「開業から2ヶ月以内」が目安(ここは変わっていない) ・迷ったら、税務署や税理士などの専門家に確認するのが安心

開業まわりの手続きは、最初は分からないことだらけで不安になりがちです。でも、ひとつずつ確認していけば大丈夫。完璧なタイミングを狙うより、まず一歩を踏み出すことのほうが大切です。

そして、無事に事業が始まったら、次に待っているのは日々のお金の管理です。数字が苦手な方のための経営管理アプリ「エール」なら、レシートを撮るだけでAIが記帳をお手伝い。毎日のお金の流れが、一目でわかるようになります。手続きを終えたあとの「毎日」を、やさしく支えます。

よくある質問

Q. 開業届を1ヶ月以内に出さなかったら、罰則はありますか?

開業届は「事業を始めました」というお知らせの届出で、提出が遅れたこと自体に対する罰則の定めは置かれていません。2026年1月1日以後の開業であれば、そもそも期限がその年の確定申告期限までです。ただし扱いは状況によって変わることがあるため、気になるときは管轄の税務署に確認してください。

Q. 2025年に開業して、まだ出していません。どうすればいいですか?

2025年12月31日までの開業は、従来どおり「開業から1ヶ月以内」が期限です。すでに過ぎていても、気づいた時点で提出すれば受け取ってもらえることがほとんどです。放置せず、早めに出すのが安心です。

Q. 開業日はいつにすればいいですか?

事業を始めた日を書きます。お店をオープンした日や、サービスの提供を始めた日など、収入が得られる状態になった日を開業日とするのが一般的です。2026年以後の開業は期限がその年の確定申告期限までになったため、1日単位で厳密に悩む必要は小さくなりました。

Q. 開業届と青色申告承認申請書は、同じ日に出せますか?

出せます。むしろ一緒に出すのがいちばん確実です。開業届の期限はゆるやかになりましたが、青色申告承認申請書は1月16日以後の開業なら開業から2ヶ月以内という期限が残っているため、別々にすると片方を忘れやすくなります。

Q. 開業届を出すと、何が変わりますか?

税務署が「この人が事業を始めた」と把握できるようになります。屋号での銀行口座の開設など、事業をしている証明として控えを求められる場面でも使います。ただし開業届を出したかどうかで、その人が個人事業主かどうかが決まるわけではありません。

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出典

[1]国税庁「個人で事業を始めたとき/法人を設立したとき」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/07_3.htm (2026年6月30日参照)

[2]国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて」 https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/onatsu/index.htm (2026年6月30日参照)

[3]e-Gov法令検索「所得税法」第229条 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033 (2026年8月5日参照)

※本記事は一般的な情報の整理です。個別の判断や最新の制度内容は、国税庁・税務署・税理士などの専門家にご確認ください。